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松屋筆記
三十七
紫蘇巻并荏裹今の世、しそまきの唐がらし、しそまきのめうが、しそまきのうど、しそまきの蓮根などいふものいとおほかり、延喜大膳式下に、醤瓜、糟漬瓜、荏裹、各一顆、また塩七斗二升八合、醤四斗一升七合、並味醤漬及荏裹料などあり、この荏裹は、荏の葉に裹みたるにて、今の紫蘇裹の類也、今も紫蘇のみにも限らず、荏の葉おも用る也、同式に茄子荏裹料一顆、中子料半顆雲々、また荏裹四百七十六顆、呉桃子二斗、生薑六升、山蘭竜葵子各一斗、舌就一斗雲々、〈舌就、一本仙沼子に作、〉また荏裹六斗料瓜九斗、冬瓜七斗、茄子六斗、菁根四斗、塩一斗二升、醤、未醤、滓醤、各一石雲々、