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傍廂
後篇
たゞらめ源氏末摘花巻に、たゞらめの花のごとかいねりこのむ雲々、此たゞらめは、かいねりとひとしく赤き故に、姫君の鼻の赤きにたとへたるよしは聞えながら、いかなる花とも思ひ得ず、古人の注釈もなし、新撰字鏡に、莘〈たヽらめ〉とあるのみにて、何の花といふ事しれがたし、もしは辛第ならんか、格物論に、辛第一名候桃とあり、時珍雲、紫苞紅焔作蓮及蘭花香、和漢三才図会に、曰弊辛夷とあり、新撰字鏡には、字書に目なれぬめづらしき字あり、