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松屋筆記
八十四
かくやの香物香物にさま〴〵の漬物おあつめて細かにきざみ、酒醤油お加減してかけたるお、世にかくやといへり、こは神祖〈○徳川家康〉の御時、岩下覚弥といへる料理人が調じて奉れるお御感ありて、やがてその名お覚弥(かくや)といふべきよし、のたうひしにおこれりとなん、そは岩下氏の家伝説のよし、屋代弘賢ものがたれりき、