[p.1061]
甲子夜話
二十四
高崎侯の臣市川一学、〈儒臣なり、又軍学お能す、〉或時軍講の次で、某幼少の時、ゆえありて薩摩に居て、十一歳にして此地に還れりと言に就き、彼国の事かれ是と問けるに、〈○中略〉かの俗、客来るときは、士庶ともに、先づ塩気孟と雲ふものお出す、其体は蓋物〈器の名〉に香の物(○○○)梅干などお入れ、貴人は氷沙糖など入れ、人来れば、これお直に出す、〈○中略〉さて客茶お飲ときに主人塩気孟の物お取て客に与ふとなり、