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古事記伝
三十三
麻呂賀知(まろがち)は、麻呂は我己など雲が如し、〈此称いと古き々、奈良よりあなたの書には、此より外には見あたらす,今京となりての物には、常多く見えたり、古くも人名には多きも、此よりぞ出けむ、(中略)さて師説(賀茂真淵)に、自麻呂と称ふことは、かしこきおかどありと雲に対へて、かどなくまろなりと雲意にて、拙く愚なる由の称なり、と雲れたるは、古の物言とも聞えず、漢意めきてこそおぼゆれ、〉知(ち)は人お尊みて雲称にて、〈○中略〉此は吾君と雲意にて、〈○註略〉天皇お指て申せるなり、