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空穂物語
俊蔭一
なやむこともなくて、ひかりかヾやくおのこ(○○○○○○○○○○)おうみつ、むまれおつるすなはち女おのがぬのヽふところにいだきて、はヽにおさ〳〵みせず、たヾ乳のまするおりばかりいてきて、おひかづきやしなふ、君はことになやむところなくておきいたり、〈○中略〉かヽるほどに、このはヽぎみわびしきこと、いやます〳〵におぼえて、このおやにさへなりて、おもひこがるヽに、この子やしなひもてゆくまヽに、たまひかりかヾやきてみゆれば、あはれおほぢおはせましかば、いかにいつきかなしびやしなひたまはましとおもふもかなし、