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源平盛衰記
十八
文覚高雄勧進附仙洞管絃事文覚勧進帳おば、左の手に取渡し、右の手には、懐より刀お抜出、管には馬の尾お組て巻、一尺余りなる刀の日に耀て如氷、長七尺計なる法師の、而る大力にて、衣の袖に玉だすき上、眉の毛お逆になし、血眼に見な庭上お狂廻ければ、思懸ぬ俄事にはあり、こはいかヾせんと上下騒げり、