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北条五代記

関東の乱波(らつは)智略の事
それ風摩は、二百人の中に有てかくれなき大男、長七尺二寸、手足の筋骨あらく敷、援かしこにむらこぶ有て、眼はさかさまにさけ、黒髭にて口脇両へ広くさけ、きば四つ外へ出たり、かしらは福禄寿に似て鼻たかし、声お高く出せば、五十町聞え、ひきくいだせば、からびたる声にて幽なり、見まがふ事はなきぞとよ、