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源平盛衰記
二十
小児読諷誦事
兼隆〈○和泉判官〉被討後日に追善あり、修行者お招請して、唱導お勤けるに、色々の捧物に、思々に志お載たり、其中に一紙の諷誦あり、法華経開八巻心成仏身と計書たる諷誦あり、導師是お読煩たりけるに、聴衆の中に五歳の小児あり、此諷誦およまんと雲けるお、乳母いかにとしてかと制しけれ共、膝の上より頽下、高座の下に歩寄て、
法の花終にひらくる八牧には心仏の身とぞ成ぬると、不思議なりける事也、
兼隆〈○和泉判官〉被討後日に追善あり、修行者お招請して、唱導お勤けるに、色々の捧物に、思々に志お載たり、其中に一紙の諷誦あり、法華経開八巻心成仏身と計書たる諷誦あり、導師是お読煩たりけるに、聴衆の中に五歳の小児あり、此諷誦およまんと雲けるお、乳母いかにとしてかと制しけれ共、膝の上より頽下、高座の下に歩寄て、
法の花終にひらくる八牧には心仏の身とぞ成ぬると、不思議なりける事也、