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古今著聞集
五/和歌
基俊城外しける事有けり、道に堂のあるにむくの木有、その木に六歳ばかり成小童のぼりてむくお取てくひけるに、こヽおば何といふぞと尋ければ、やしろ堂と申とこたへけるお聞て、基俊なにとなくくちずさみに童にむかひて、
この堂は神か仏かおぼつかな.といひたりければ、此わらはうち聞てとりもあへず、
ほうしみこにぞとうべかりける、といひけり、基俊あさましくふしぎに覚て、この童はたヾものにはあらずとぞいひける、