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古今著聞集
三/政道忠臣
村上御時南殿出御ありけるに、諸司の下部の年たけたるが、南階の辺に候けるおめして、当時の政道おば世にはいかヾ申すと御尋有ければ、目出度候とこそ申候へ、但主殿寮に松明多く入〈○多く入原作たへ、拠一本改、〉候、率分堂に草候と奏たりければ、御門大きにはぢおぼしめしてけり、させる公事の日にはあらざりけるにや、松明のいると申は、公事の夜に入由にて侍り、率分堂に草のしげれるとは、諸国のみつぎ物の参らぬ由成べし、いみじく申たりけるもの也、