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大鏡

よつぎがいふやう、世はいかにけうあるものぞや、さりともおきなこそ、せう〳〵の事はおぼえ侍らめ、むかしさかしき御門の御まつりごとのおりは、国のうちに年おいたる翁おむなやあるとめしたづねて、いにしへのおきてのありさまおたづねとはしめ給てこそは、そうする事おきこしめし合て、世のまつりごとは、おこなはしめ給ひけれ、さればおいたる身はいとかしこきものに侍り、わかき人だちおぼしなあなづりそとて、〈○下略〉