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神皇正統記
後醍醐
頼朝は我身かヽればとて、兄弟一族おばかたくおさへけるにや、義経五位の撿非違使にてやみぬ、範頼が参河守なりしは、頼朝拝賀の日、地下の前駈に召加へたり、おごる心見えければにや、この両弟おも終にうしなひにき、さらぬ親族もおほくほろぼされしは、おごりのはしおふせぎて、世おも久しく家おもしづめんとにやありけん、