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倭訓栞
前編四十五/於
おや 日本紀、続紀、宣命などに見ゆ、祖字およむは遠祖(とほつおや)までお通はしいふ、又親字およめり、老の義也、源氏にものヽおやはじめのおやなどいへるは祖の義也、古事記に、母の事も祖とも雲り、母おおやとよみしは、万葉集に見えたり、阿邪の字、禅録に見えたり、伊勢物語真名本に、母字おやとよめれど、必はヽとよむべし、されど万葉集には、母お多くおやとよめり、我国の風、両親の肉多く母に就は、親しみお主とする也、