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於路加於比

小児語
嬰児の語に、父おとヽと雲は、ちヽよりてヽと転り、てヽよりとヽと転りたるのみ、奥羽の辺地には、だヽあともいふ歟、皆多行のたちつてとと転り来なり、〈つヽとのみいはざる由は、いまだ考へず、〉母おかヽと雲は、はか同韻の言の横通して転ぜるなるべし、〈五十音図にて、音の反切お見るに、父字は同行お縦に行、母字は同韻お横に行なり、今父母の言転ずるも、又父は縦に転り、母は横に通ふも一奇といふべし、〉