[p.0141]
古事記伝

塗母乳汁者は、於毛能知志流登奴礼婆と訓べし、〈○註略〉母は乳母(ちおも)お雲なり、凡て於母と雲は、親母(おや)にまれ乳母(めのと)にまれ、児に乳お飲しむる人の称なれば、親母(おや)とせむも違はず、〈親母お於毛と雲も、乳おのまし養ふことにつきての称なり、然るおたゞ波々の古言とのみ心得て、乳養のことにあづからぬ処の母字おも、なべて於毛と訓はひがことなり、〉されど中巻玉垣宮段に、取御母とあるも乳母なり、なほ於母のことは、彼処〈伝廿四の彼処〉に委く雲べし、