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倭訓栞
前編三/伊
いもせ 妹兄の義也、夫婦おいふ、夫は長し、妻は弱ければ、同義にいひ習はせる質朴なる上古のことばにこそ、西土にも夫婦となることお、兄弟と書し、夫お伯とも仲子とも呼たる事も見ゆ、北斉には妻お呼て妹といふとも書せり、神代記には称妻為妹、蓋古之俗乎と見へたり、もとは諾冊の尊より出たる詞なれば、延喜式にも伊佐奈伎伊奘奈美命妹妋と見へたり、妋は夫の義、字書の本義にあらず、猶いろせの条考べし、