[p.0151][p.0152]
物類称呼
一/人倫
妻つま、 京にて他の妻おお内義さん(○○○○○)とよぶ、大坂にておえさん(○○○○)とよぶ、〈お家さまなり〉江戸にてかみさま(○○○○)といふ、甲斐にて中居(なかい/○○)といふ、〈甲州の国風の歌に、甲金や三升升に四角箸切はふづくりおこれお中居とよめり〉播摩辺又越後わたりにてごりよん(○○○○)と雲、〈よめ御料などの転語か〉奥州南部又は津軽にてあつぱ(○○○)といふ、〈吾が母といふの転語なるべし、小児の母に対して雲詞か、〉仙台にておかた(○○○)といひ、又ごヾさま(○○○○)と呼は、たつとぶ詞なり、御は尊称也、御は女の通称也、故に御おかさねて唱るにや、又仙台にては、媳婦お呼ておむかさり(○○○○)といふ、上総にてめこ(○○)といふ、〈源氏に、めこのかほも見でと有、これは吾妻也、〉他の妻おばおぢよう(○○○○)と雲、〈御女郎の略語か〉伊勢にやよ(○○)といふ、〈下賤の妻おいふと也〉尾張にてお家(○○)とよぶは、江戸にてお袋(○○)といふにあたる、同国にてかみさま(○○○○)とよぶは、老女の称也、対馬にておゆみ(○○○)といふ、肥の佐賀にておとも女郎(○○○○○)といふ、〈おともは手前の事おいふ、おとゝいふ時にそこもとゝいふにひとし、〉又おかた(○○○)といひ、女房内義(○○○○)などやうの詞は、通称にして記にいとまあらず、