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大鏡
七/太政大臣道長
この殿〈○藤原道長〉は、北の政所、二所おはします、この宮々の御母うへと申は、土御門左大臣雅信のおとヾの御むすめにおはします、〈○中略〉其まさのぶのおとヾのむすめお、今の入道殿下の北政所〈○倫子号鷹司殿〉と申なり、その御はらに、女君よところ、おとこ君二ところぞおはします、〈○中略〉又高松殿のうへ〈○明子〉と申も、これ源氏におはします、延喜御子高明親王、左大臣左大将までならせ給へりしに、おもはざるほかの事により、大臣とられて、太宰権帥にならせ給ひてながされ給ひし、いとヾ心うかりし御むすめにおはします、