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松屋筆記
八十七
娣妹の字義
女子の長お姉といひ、次お娣といふ、男子の長お兄といひ、その次女お妹といふ、娣妹ともにいもうととよめど、字はおなじからず、晋語一〈国語七巻七丁右〉に、献公伐〓戎克之、滅〓子、獲〓姫以帰、立以為夫人、生奚斎、其娣生卓子雲々、注に、娣大計切、女子同生、謂後生為娣、於男則言妹也雲々と見えたるにて知べし、また、爾雅〈註疏本三巻廿丁左〉釈親に、男子謂女子先生為姉、後生為妹雲々とありて、妹は男子の妹にいふなるお、倭名抄〈二巻十四丁お〉兄弟類部に、爾雅雲、女子先生為姉、音止、女兄、和名阿禰.日本紀読与兄同雲々、また、爾雅雲、女子後生為妹、音昧、和名伊毛宇止、日本紀私記雲、以呂止雲々と記されしは、上の男子の二字に心づかずして、誤られたる也、喪葬令集解にも、姉妹俗雲阿禰於伊毛と見ゆ、