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三河物語

七郎右衛門、たまくすりがなきぞと言ければ、たまくすり之なきとは、何としたる事ぞや、はや〳〵出させ給へと雲ければ、其時、せがれめ(○○○○)が何お雲、こと〴〵くこしがぬけはてて出んと雲者一人もなきぞ、こしがぬけたると言へば、諸人之よはみ成に、たまくすりがなきと雲物なるぞと雲ければ、平助も其儀ならばとて、かはらへのり出して帰る、
○按ずるに、右は大久保彦左衛門の兄七郎右衛門が、弟に対してせがれと雲へり、