諸例集

二

続名目之儀に付問合
文化五年四月廿八日、伊藤河内守差出順覧廻し、
柴田河内守
伯母婿、先妻之子お以、継母之養ひに致し候時者、伯母之甥之為に者、従弟之続相成候や、併継母に養はれ候共、継母方之親類に者服忌無之に付、続名目者無御座候哉、
但服忌者無之候得共、続名目者有之候儀に御座候はヾ、親類書に者書出し候方に御座候哉、一 体継母方之続合之者は認出し不申候事故、養ひに相成候とも認出し候に者及不申候哉、
右之趣御問合申候、否御下げ札に而被仰聞可被下候、以上、 四月十九日 柴田河内守
書面之通者、先妻之子継母之養に相成候共、継母方親類続之名目無之に付、親類書〈江〉書出に不 及候、
此度柴田河内守より、別紙之通問合有之候、附札之通に可答哉に候得共、享和三亥年十二月、養父之実方親類名目有之積り申合有之に見合候得共、如何可有之哉、則例書共相添及御相談候、少々差急候趣に、候間、先思召之程承度御座候、御書留之儀者追而可相廻候、
四月廿八日 伊藤河内守
元文度之伺済も有之候上者、服忌者無之候共、続名目者有之方に居置、可然と相聞、享和三亥年 御再評にも御多分に付、続名目有之方に相居り候趣に有之候、作去猶愚考致し候得者、元来養 子之儀者、他之厄介お貰、継嗣之子に致し候事に而、貰候上者、養之字肝要之文字に候得共、貰候 上者、養父之身より見候得者、養子実子之差別者難相立、一般嫡子に相成候事故、仮令続無之候 とも、養家の親類実之続之如く忌服請候儀者、全く右故之儀可有之、然者此通りお打返し見候 得者、実家之儀者、養子に成候日より忌服無之とも、可然筋に候得共、肉縁有之故に半減と相成 候儀に候半哉、此理より今一等押上げ、養父の実方に至り候而者、忌服者勿論続之名目とても 可有之謂無之様に被存候間、御下げ札御挨拶之趣に而、存寄は無之候得共、元文度伺済、私之申 談に而消候儀者、万事〈江〉響不穏様に存候間、始末御書取、今一応御伺被成候方に者有之間敷哉、 強而之存寄に者無之候得共、任御相談、愚存申演候、
四月廿八日 飛騨守