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橘庵漫筆
初編五
士の妻女称して御新造といへり、いかにも此字義あたらず、御深窻(しんぞう)と雲べきお誤りつたふるものか、御深窻は奥様と雲に対して称するなるべし、李白の詩に、美人捲珠簾深坐嫩蛾眉と作、長恨歌に、楊家の深窻に養れといへり、何れにも御深窻と書が礼なるべし、秋斎間語の新艘の説、野にして隘哉、陸氏が傾城の新艘の説は可なるべし、