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古事記伝
十四
孫は、和名抄に、爾雅雲、子之子為孫、和名無万古、一雲比古とある中に、比古と雲ぞ正しかるべき、孫字古くは皆然訓り、又曾孫お比々古と雲も、比古の子と雲意なればなり、〈今俗に曾孫お比古と雲は、比々古の訛れるなり、さて孫お無万古とあるは、馬梅などおも、後には牟万牟米と雲例にて、本に宇万古なり、そは蕃息子にて、子等の又子等の、つぎ〳〵に蕃息れる意の称なり、是も古き称とはきこゆ、〉さて此の孫は、泛く子孫の意に雲るかとも見ゆれども、猶子の子お雲なるべし、