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古事記伝
三十四
継体天皇は、此意富々杼王〈○応神皇子〉の御曾孫(○○)に坐お、彼天皇御段に、たヾ品陀天皇五世之孫とのみ記して、其御世系お記さず、然れば伊邪河宮段に、息長帯比売命〈神功皇后〉の御也系お記せる如くに、此に必継体天皇の御祖世系お記すべきことなるに、たヾ御後の氏々おのみ挙げて、其お記さヾるは事闕たり、故今書紀釈に引る上宮記に依て試に雲ば、故意富々杼王娶中斯和命生子宇比王、此王娶牟宜都国造名伊自牟良君女久留比売命生子宇志王、此王娶伊玖米天皇七世之孫振比売命生子袁本杼命〈○継体〉也と記すべきことなり、〈なほ此御世系の委き事は、彼天皇御段に雲べし、〉