[p.0246][p.0247]
平家物語

げんじそろへの事
一院〈○後白河〉第二の皇子もち仁親王と申しは、御母は加賀大納言すえなりの卿の御むすめ也、三条高倉にまし〳〵ければ、高倉の宮とぞ申ける、〈○中略〉源三位入道よりまさ、ある夜ひそかに此宮の御所にまいりて申されける事こそおそろしけれ、たとへば、君は天照太神四十八世の正とう(○○○○○○○○○○○○○○)、神武天皇より七十八代にあたらせ給ふ○○○○○○○○○○○○○○○○○、しかれば太子にも立、位にもつかせ給ふべかりし人の、三十まで宮にてわたらせ給ふ御事おば、御心うしとは思し召れ候はずや〈○下略〉