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万葉集略解
十二上
今本為社と有りて、すもりめのとヽ訓るは何事ぞや、一本社に作るおよしとす、乳母は知毛とも訓べけれど、同じ事お下に於毛と書るに依て、上おもおもと訓也、訓と意お知らするとて、二様に書るものなれば也、母おおもといふ事は集中に多し、乳母おば知於毛といへど、略てそれおも於毛とのみもいへり、古事記取御母(みおも)定湯坐若湯坐とも有、乳のめやは、乳のめばにや也、此歌はもと逢し女はかれて、男の今乳母とことばして、他女およばふこと有時、前の女の聞て、戯て贈れるなるべし、