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窻の須佐美

神崎与五郎は、故浅野内匠頭〈長矩〉殿の乳兄弟(○○○)なりしとぞ、其母上方に居たりしが、与五郎少し進みがたき気色あるお見て、われゆへ心ひかれて、少したゆむ心みへたり、さるゆへに、われは死侍る、心がヽりなく、本意お達すべしと書置して自害しけり、与五郎是お見て、こヽろお一にして、余義なき体なりしかば、大石賞して相談の会処とす、