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徒然草

是も仁和寺の法師、童の法師にならんとする名残とて、各あそぶ事有けるに、酔て興に入あまり、かたはらなるあしがなへおとりて、頭にかづきたれば、つまる様にするお、鼻おおしひらめて、かほおさし入て舞出たるに、満座興に入事かぎりなし、しばらくかなでヽ後ぬかんとするに、おほかたぬかれず、酒宴ことさめて、いかヾはせんとまどひけり、兎角すれば首のまはりかけて血たり、たヾ腫にはれみちて、いきもつまりければ、うちわらんとすれど、たやすくわれず、