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安斎随筆
後編四
軍物語の書に首頭頸の三字お、くび(○○)と雲ふ事に用たり、首も頭もかしらとよむ、俗にあたま也、頸は俗に略して頭に作る、この字おばくびとよむ、俗に雲えり也、如斯差別ある事なれども、おしなべてくびと雲故、文字混雑せり、くびおとる、くび実検などヽ雲には、首の字にても、頭の字にても用べし、くびおかく、くびお切ると雲ふ時は、頸の字お用るもよし、首お切るにえりの所お切るゆへ也、されども首にても頭にても用るは猶宜き也、