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倭訓栞
前編四十五/於
おもかげ(○○○○) 万葉集に見ゆ、文選に顔およ7顔気おいふ也、常に面影と書り、かげは景気おいふ、又依希およめり、面相是心相非也と注す、俤の字は和俗義おもて二合したる也、宗祗の説に、三義お分てり、おもかげは身おもはなれずなれ〳〵てわかるヽ方もしら川の関、倣仏と其物お見る意也、秋のなごりながめし空の有明におもかげ近き冬の三日月、よく相似たる意也、よしさらばとはずばわかず有もせでおもかげばかり来て帰るらん、唯そとばかりの意也、