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骨董集
上編上
耳の垢取
江戸鹿子〈貞享四年板〉 耳垢取、神田紺屋町三丁目長官とあり、おなじ比京にもあり、京羽二重〈貞享二年板〉耳垢取、唐人越九兵衛とあり、初音草噺大鑑〈元禄十一年板〉巻之五に、京と江戸ゆきヽすぐなる通町辻々おみれば、あるひは歯ぬき、耳の療治雲々、老人養草〈正徳六年板〉に雲、近来京師の辻々に、耳垢取とて、紅毛人のかたちに似せて雲々とあれば、元禄の末、正徳の比までもありしなるべし、