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万葉集
十一/古今相聞往来歌
正述心緒
希将見(まれにみむ)、君乎見常衣(きみおみむとぞ)、左手之(ひだりての)、執弓方之(ゆみとるかたの)、眉根掻礼(まゆねかきつれ)、〈○中略〉
眉根掻(まゆねかき)、下言借見(したいぶかしみ)、思有爾(おもへるに)、去家人乎(いにしへびとお)、相見鶴鴨(あひみつるかも)、
或本歌曰、眉根掻(まゆねかき)、誰乎香将見跡(たれおかみむと)、思作(おもひつヽ)、気長恋之(けながくこひし)、妹爾相鴨(いもにあへるかも)、
一書歌曰、眉根掻(まゆねかき)、下伊布可之美(したいぶかしみ)、念有之(おもへりし)、妹之容儀乎(いもがすがたお)、今日見都流香裳(けふつるかも)、〈○中略〉
問答
眉根掻(まゆねかき)、鼻火紐解(はなひひもとき)、待八方(まてりやも)、何時毛将見跡(いつかもみむと)、恋来吾乎(こひこしわれお)、
右上見柿本朝臣人麿之歌中、但以問答故、累載於茲也、