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太平記

四月〈○正慶二年〉三日合戦事附妻鹿孫三郎勇力事
印具駿河守の勢、五十余騎にて追懸たり、其中に年の程二十計なる若武者、隻一騎馳寄せて、引て帰りける、妻鹿孫三郎に組んと近付て、鎧の袖に取著ける処お、〈○中略〉孫三郎尻目(○○)にはつたと睨て、敵も敵によるぞ、一騎なればとて、我に近付てあやまちすな、ほしからば、すは是取らせん、請取れと雲て、〈○下略〉