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源平盛衰記

康頼熊野詣附祝言事
執行〈○俊寛〉は御教書取上て、ひろげつ巻つ披つ、千度百度しけれども、かヽねばなじかば有べきなれば、頓て伏倒絶入けるこそ無慚なれ、良有、起あがりては血の涙(○○○)おぞ流しける、血の涙と申は、涙くだりて声なきお血と雲といへり、言は出さヾりけれ共、落る涙は泉の如し、