[p.0381]
安斎随筆
後編一
嚏のまじなひ 嚏〈くさめの事也、俗にくしやみと雲、〉凶事也とてまじなひおする事あり、徒然草に、くさめ〳〵と雲てまじなふ事見えたり、くさめと雲ふは、はなひる事にはあらず、はなひる時のまじなひ詞也、又下賤の人は、はなひる時まじなび也とて、くそくらへと雲、拾芥抄に嚏時の容に休息万命、急々如律令とみえたり、休息万命おくそくまんみやうとよむお誤り伝へて、くそくらへと覚えたがへたるものなるべし、