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身のかたみ
第六、御口はひろくも、せばくも、ものいひしどけなく、口のわきよりあはかきたらし、おかしきことありとて、口ひろくあきて、舌のさきひろめき、咽の穴残りなくみえなどしては、いかにその口つきよしとても見にくヽ候へば、うけ口、すけ口、わに口などとて、なおえたるあしきくちつきなりとも、こはひきにうちやすらひて、のどかにものいひたらんは、いかばかりきヽよく見能候はんずらん、人ごとにわれのみはあしと思ひ候はねども.かたはらにて見る人の、いひさたするにつけても、かほのもちやう、ものヽいひやう、その品々しらるヽものにて候、又いかに上らうと申候へども、はなのさきまがりて、えみがたくほうげづきたるは見にくし、さしてなき人なりとも、うちえみ御あひしらひ候はヾ、あしき御くちつきもつみゆるされ候べく候、