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陰徳太平記

雲州佐陀城没落事
今岡弥五郎〈○中略〉所々の合戦に、分捕高名、驚衆抜群事幾度と雲ことお不知、中にも比類なかりしは、因州に於て敵五人切てかヽりしお四人切伏、今一人と組て伏、押て頸お掻けるに、五人と切合たる故にや、刀の刀散々に打折ぬ、打刀お捜りけるに、組合間に抜て落たりける間、彼鋸の如なる刀にて、頸半分は摩切たりけれ共、更に不落ければ、足にて蹈付、頸お緊切て提げ来りぬ、ねぢ頸(○○○)など雲事は、昔物語などにこそ聞つれ、正敷目前に見る事の不思議さよと、諸人消胆絶倒しぬ、