[p.0415]
陰徳太平記
二十一
備後国泉合戦之事
米原が吾身一分の大事と、真先に進て戦ふ有様、殊に射よげに見えければ、能引て放ちけるに、其矢不錯脇坪(○○)お肩先かけて射徹しける間、さしも樊噲が勇お成し米原も、大事の痛手なれば、何かは少も漬るべき、鎗お彼所へからりと捨、橋より真逆に河水の中へ落たりける、〈○下略〉