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陰徳太平記
六十七
光秀殺信長卿事
光秀は床几に腰掛て、軍の下知して居たる所へ、京都商家の者共、賢顔に天下御手に入目出度候とて、面々酒菓の進物お捧げ来りければ、光秀祝著せりとて、粽お取て食けるに穀お不去、酒お受て呑たりけるに、喉へは不入して、胸板(○○)お伝て流れにければ、