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太平記

高時並一門以下於東勝寺自害事
去程に高重走廻て、早々御自害候へ、高重先お仕て、手本に見せ進せ候はんと雲儘に、胴計残たる鎧脱て抛すてヽ、御前に有ける盃お以て、舎弟の新右衛門に酌お取せ三度傾て、摂津刑部大夫入道道準が前に置き思指申ぞ、是お肴にし給へとて、左の小脇に刀お突立て、右の傍腹(○○○○)まで、切目長く掻破て、中なる腸手縷出して、道準が前にぞ伏たりける、