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古事記伝
三十
屎戸は久曾幣(くそべ)と訓べし、〈屎おくしと訓るは、くそと雲ことお、悪み避たるなれど、後世のことなり、古はさることなし、書紀にも.送糞此雲倶蘇摩屡とこそ見えたれ、戸お斗と訓るもわろし、〉此は上巻に、亦其於聞看大嘗之殿、屎麻理散とある是なり、戸は、〈字は借字〉幣理の理お省けるにて、〈かく活く理お省く例多し、知お斯、渡お和多と雲類なり、〉即麻理散お雲、和名抄に、痢久曾比理乃夜万比、〈又放屁、和名倍比流と見え、また嚏(はなひる)、これらの比流も本同言なり、又俚言に、屎の滑なるお、毘理屎と雲、〉此比理と通ひて同言なり、即今俗語に、小虫などの卵お生出して、物に著置お、幣理著(へりつく)ると雲も此なり、