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松屋筆記

松ふぐり陰囊(ふげり)
新撰犬筑波春部に、春風にぶらめき渡る松ふぐり、同冬発句部に、霜風にふるひおとすや松ふぐり、同雑部に、山に千年川に千年、ふぐりまでうしほにうつる峰の松、又まつふぐりとや人はいふらん、住吉の岸によりたる蛸お見て、又ふぐりのあたりよくぞあらはん、むかしより玉みがヽざれば光りなし、又手綱もかヽぬ高砂の浦、しほ風にぶらめきわたる松ふぐり、按に松ふぐりは、松実にて、其形陰囊にも似たれば、いふ歟、和名抄茎垂類部に、針灸経雲、陰囊、俗雲布久利雲々、またはかりの錘有、