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松屋筆記
七十一
小児の尿(えばり)するおしう(○○)おすると雲詞
小児に小便せさするに、しいおせよといひ、しゆうとへようぐるなど雲俗語あり俊頼散木集十の巻、隠題歌に、拾遺抄、
しとねにはしふいせうとぞおもひつるしたりがほにもつもる花かな、此歌は下根お通はしてしとねといひ、それに尿音(しとね)およせ、しふいせうに、尿(しと)せんといふよしおよせ、したり顔に、尿(しと)おしたりがほとよせたるなり、尿おしふいといへるは、その尿するおとのしゆうといへばなり、然てしいおするなどいふもこれ也、しとといふも、尿(いばり)おしとヽ垂出(たれいだ)す音よりいへる名也、古くはしとといひ、さて転りては、しふいともきヽ、しいともきくは、その垂出す音によれるなり、花木の下根に立よりて、尿おせんとおもひつるに、はやくもしたり顔に花がちりつもりたるよしの歌なり、