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太平記

中宮御産御祈之事附俊基偽籠居事
山門横川の衆徒、款状お捧て、禁庭に訴る事あり、俊基彼奏状お披て、読申されけるが、読誤りたる体にて、楞厳院お慢厳院とぞ読たりける、座中の諸卿是お聞て、目お合て、相の字おば、篇に付ても、作に付ても、もくとこそ読べかりけると、掌お拍てぞ笑はれける、俊基大に恥たる気色にて、面お赤て退出す、