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陰徳太平記
六十二
播州大村合戦之事
弾正是お見て、如斯ては敵と打違る迄もなく、馬に蹈倒されぬべう覚るぞ、唱や方便て当の敵お可打取とて、各差違へたる様にして、芝居に取組お伏居たり、敵十四五騎馳来て、真に死たると心得、首取んと近付くお、皆傍に置たる太刀おつ取、伏作払切にしたりければ、敵五人諸膝(○○)剃されたり、是お見て残党惘れて扣たるお、起上り追散し、心地好と高声に哼て、から〳〵と笑、各首共膝の上に置、一同に自害して失にけり、