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倭訓栞
前編十六/都
つめ 爪およめり、角芽といふにや、爪甲とも見ゆ、爪は長くなれば、剪棄るものなるおもて、神代より棄(きらひ)物といひ、又収るのりも見えたり、侍中群要に、御爪切了令埋御生気方と見ゆ、土佐日記に、爪ののびたるお見て、日おかぞふと見ゆ、また異邦にては、賤しき人は爪おとり、貴き人は爪とらでながし、今もしかりとぞ、又文官は爪おきらず、武官は爪おきるともいへり、