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醒睡笑
二/躻
腑のぬけたる仁に、えびおふるまひけるが、赤お見てこれはむまれつきか、又朱にてぬりたつものかととふ、生得は色があおけれど、かまにていりて、あかふなるといふおがてんしいけり、ある侍の馬にのりたる先一二間半柄の朱鑓、二十本ばかりもちたる中間どものはしるおみ、てうつてさても世はひろし、奇特なる事やと戚ずる、なにおそなたはかんずるやととひたれば、其事よ、今の鑓のえのいろは、火おたひてむいたものぢやが、あれほどながひなべが、よふあつた事やと、