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太平記
十三
兵部卿宮薨御事
淵辺したヽかなる者なりければ、〈○中略〉宮〈○大塔宮護良〉少し弱らせ給ふ体に見へける処お、御髪お〓て引挙て、則御頸お掻落す、〈○中略〉去程に御かいしやくの為、御前に候はれける南の御方、此有様お見奉て、余の恐しさと悲しさに、御身もすくみ、手足もたヽで坐しけるが、暫肝お静め(○○○○)て、人心付ければ、〈○下略〉