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増鏡
十三/今日の日影
太郎なりけるおのこは、南殿の御帳の内にてじがいしぬ、おとヾの八郎といひて、十九になりけるは、大床子のあしのしたにふして、よるものヽあしおきり〳〵しけれども、さすがあまたしてからめむとすれば、かなはで自害するとて、はらわたおばみなくりいだして(○○○○○○○○○○○○○○)、手にぞもたりける、そのまヽながらいづれおも、六波羅へかきつヾけて出しけり、